ミトコンドリア研究の最前線 〜「ミトコンドリア・イブ」
『生命科学の21世紀』コース

 数年前に映画化された小説、「パラサイト・イブ」。この話の中心となっているミトコンドリアとは、細胞の中で酸素を使い炭水化物を燃やしてエネルギーをつくり出す、細胞小器官のことである。
 ミトコンドリアはかつて単独の細菌であったという。そして我々の祖先となる真核生物と共生を始めた。そしてミトコンドリアと共生してきたからこそ、真核生物はここまで進化できたともいえるという。
 ヒトは60兆個の細胞で形作られている。それらの各細胞に約2000個のミトコンドリアがふくまれている。つまり、ヒトひとりは12京個(1.2×10の17乗個)のミトコンドリアをもっていることになる。地球上にはヒトだけで60億人。また他の生物のことも考えに入れると、莫大な数のミトコンドリアは地球で繁殖していることになる。
 この話の中では、今まで細胞核の奴隷のようなものであったはずのミトコンドリアが意志を持ち、反乱を起こして逆に細胞核を奴隷化してしまうという展開がでてくる。
 実際、そのようなことが起こり得るのかどうか、結論はともかく、このミトコンドリアという気になる存在についてこの班ではしらべてみた。探求の方法としては、書籍、インターネット、新聞などによるものが主である。
 このミトコンドリアは1890年に発見された。そして40年ほど前から細胞内のエネルギー合成の場所として、エネルギー代謝の仕組みの研究が活発に行われるようになった。1963年、ミトコンドリア内に独自のDNA、遺伝子が発見され、現在の遺伝子を中心とする研究へとつながっている。この20世紀に進められた研究から、ミトコンドリアは単なるエネルギー合成の場所としてだけでなく、細胞、あるいは生物そのものの働きに大きな影響を及ぼしていることが明らかになってきている。
 また、ミトコンドリアDNAを調べることが、生物の進化の研究にも役立つということがわかっている。

「我々の細胞の中には、たくさんの居候がいる、それはミトコンドリアである。」