― 総合学習Iコース 『20世紀の映画』 ―

人工生命体とそのこころ

 

1.テーマ設定の理由

  私達のコースではSF映画を観てそれらの持つ近未来へのメッセージを読み取ってきました。映画の中では環境問題、核戦争の危険性、人間の生き方など近々起こりうる様々な問題が描かれていましたが、私たちは人工生命体、その中でも予めプログラミングされた事をするだけではなく、心を持ち自分の意志に従って生きようとする人工生命体について取り上げる事にしました。なぜなら今日AIBOやASIMOといったロボットが開発されるようになったのを見て、今まで「遠い未来」でしかなかった心をもつ人型ロボットも「現実」のものとなる可能性がでてきたと思ったからです。それに伴って人と人工生命体との共存について問題が起こってくるだろうと思い、このテーマを設定しました。

 

2.映像を流す  

実際に映画の中で人工生命体が心を持っていると思われるシーンを集めてみました。(映像8分を流す)この映像は5人それぞれが1本の映画を担当し、それぞれが各自の映画からピックアップし、それらを編集しました。

 

<映画のストーリー>

 

・『GHOST  IN  THE  SHELL―攻殻機動隊―』 監督:押井守  


 西暦2029年、アジアの一角にある企業集合体国家では情報ネットが世界中に張り巡らされている。そこでは超高度情報化社会の典型的な恩恵を受ける一方で、同時にハッカーや情報操作などの電脳犯罪が飛躍的に複雑化し、人格や国家までも操作するようになっていた。凶悪化、巨大化していくこうしたネット犯罪に手を焼く政府は非公然の超法規組織、通称『攻殻機動隊』を創設し、サイボーグ化された隊員を集め対抗していた。  
 
その攻殻機動隊の前に謎のハッカー『人形使い』が現れる。その正体は外務省が国際的な謀略実行のために作り上げたコンピューターウィルスであった。彼は義体(工場で大量生産されるボディー)を借りて「私は情報の海で発生した新生命体。」という言葉を残す。人は周りの状況で私らしきものがあると判断し、記憶によって生きるものだとここでは言われている。コンピューターによる記憶の外部化、また義体の生産が可能な時代が来た時、生命の定義というものがますます難しくなってくるだろうというメッセージが込められた映画である。(取り上げた映像は人形使いが金髪の女性の義体を借りて、上に書いたような訴えをするシーン)

・『鉄腕アトム』 監督:手塚治虫  


第一話アトム誕生
 科学庁長官天間博士は息子、鳶尾を交通事故で失う。博士は死なない鳶尾を作ることを決心する。科学庁に設計図を示し、このロボットの一年以内の完成をめざす。それから一年、ついにロボットは完成した。このロボットは天間博士のもとで鳶尾として、一緒に暮らす。様々な教育を受け、数年後には人間の子供と変わらなくなった。ただ一点を除いては・・・。ロボットである鳶尾は成長しなかった。このロボットを自分の子供として育てていた、天間博士は怒り出す。しかし、彼にはなぜ、怒られているのか、なぜ突然自分をかわいがっていてくれた博士が自分を嫌ったのかがわからなかった。博士はとうとう、このロボットをロボットサーカスの団長に売り飛ばしてしまう。サーカスでそのロボットはアトムと呼ばれるようになった。ゴーレムとの決闘によってアトムは見せ物にされた。これを見ていた一人の老人が怒って、団長に怒鳴り込んだ。「これでは奴隷同士を戦わせた古代ローマの闘技場と同じじゃないか。」しかし、団長はロボット同士を戦わせてはいけないという決まりは無いといって取り合わなかった。ゴーレムと戦って勝利したアトムはしかし、その優しさゆえに、ゴーレムを完全に倒すことはできなかった。団長はショーが台無しだといって、アトムにしばらくエネルギーの補給抜きの罰を与えた。団長のもとに抗議してきた、老人が再び団長の所にやってきた。彼は科学庁長官に新しく就任した、お茶の水博士で、アトムは科学技術の最高傑作で、国の宝であるから、返してほしいと言うが、団長はアトムはサーカスの財産だといって、拒否した。その頃アトムは、客からの人気が無くなったためにエネルギーを補給してもらえず鉄くず屋に売られるのをただ待っているロボット達に会う。そこで、アトムは彼らに自分のエネルギーを分けてあげた。ある日、サーカスで事故が起こり、サーカスのテントは爆発に巻き込まれて、大火事になった。アトムはロボット達に今こそ僕たちの力が必要な時だと言って、ロボット達に人間の救出をただす。ほとんどの人間を助けたところで、団長がいないことに気づいたアトムは、再び燃えるテントの中に、団長を救いに行く。無事団長を見つけたものの、アトムはエネルギーが底をつきかけていて、フラフラ。なんとか、みんなの元にたどり着くと、そのまま倒れてしまう。病院にて、目を覚ました団長は、お茶の水博士にアトムに感謝するようにといわれるが。自分の商品に感謝する必要は無いと言って、それを頑として受け付けなかった。お茶の水博士は団長に世の中ではロボットの人権が認められたことを告げアトムを連れて病院を出ていく。

〜第117話世界最大のロボット
 ある国の王が世界一強いロボットを作ろうとした。百万馬力のプルートというロボットを作り、プルートが世界一であると証明するために、彼に世界で最も強いと言われている6人のロボットを倒してくるように命令する。プルートの前に次々と倒れていくロボット達、アトムも標的の一人だった。しかし、アトムと戦おうとするプルートをお茶の水博士が止めに入ったり、他のロボットが邪魔したりして、なかなか決着を着けることができない。アトムはこの戦いは無意味だと思いプルートを説得しようとするが、プルートは「私は戦うために作られたのだ。」と言って、聞きいれない。二体が阿蘇山で戦っていると、阿蘇山が噴火しそうになる、共同作業でそれをくい止めた二人の間には友情が芽生える。しかしプルートの主人は戦うように命令する。そこに割って入ったのはプルートを作った博士だった。実は彼は、昔この王の下で闘技用ロボットとして使用されていた。毎日毎日、ただ戦うだけの日々に疑問を覚え、正しいロボットを作ろうとしたが、プルートのようなただ強さを求めるロボットを作ってしまい後悔する。そして、プルートは破壊するべきだと考え、密かに二百万馬力のロボットを作っていた。王にプルートをこのロボットと戦わせなさいと言うと、王は逆上し、その挑戦にのった。プルートが負けるのは目に見えているので、アトムは止めようとするが、プルートはまたしても、「自分は戦うために作られたのだ。」といって戦い。そして、自爆装置によって、相打ちに持ち込んだ。博士は泣き崩れる王を連れて、「こんどこそ、すばらしい世界最大のロボットを作る」とアトムに言って立ち去った。

・『ブレードランナー』 監督:リドリー・スコット  


  あるとき、レプリカントが人間を殺害し、地球に四人のレプリカントが逃げたことがわかる。4人のレプリカントを回収するために元ブレードランナーのデッカードが呼ばれる。レプリカントと判断するには質問攻めの方法があった。都市の中心のタイレル社の社長のところを尋ねたとき、社長の要望によりそこにいた秘書のレイチェルがレプリカントがどうかを判断させられる。デッカードは質問攻めで彼女がレプリカントと知るのだが、自分を人間と信じていたレイチェルはそのことで大きなショックを受けてしまう。そのころ逃げていたレプリカント達は4年の命しかないので延命を望み、自分達を作ったタイレル社長を探していた。レプリカントのリーダーであるバッティの恋人プリス(レプリカント)がレプリカントを作った男と仲良くなったことでバッティとともにタイレル社に潜入し、社長と会う。しかし、バッティは延命法はないと知り、タイレル社長と自分達を作った男を殺害する。デッカードはそのことを知り、作った男の家に向かう。そこで死闘を繰り広げプリスは倒したものの、バッティの強さに逃げようとする。しかし、となりのビルへのジャンプに失敗する。なんとかビルにへばりついたものの、真上をバッティが軽々飛び越えてビルに飛び移る。バッティは落下しかけたデッカードを助けるのだが、寿命がきて静かに死んでいく。デッカードは自宅に戻り、レイチェルをつれてその場を後にする。

 

・『  STAR  TREK  THE  NEXT  GENERATION  』 監督:リック・バーマン  
 

宇宙・・・そこは最後のフロンティア・・・これは宇宙戦艦エンタープライズ号が 新世代のクルーの下に

24世紀において任務を続行し 未知の世界を探索して 新しい生命と文明を求めて

勇敢に航海した物語である

 

LORE(ローア)

俺か?俺はローア。データの兄貴さ。データと俺はオミクロンセータって星で、ヌニアン・スン博士に作られたアンドロイドだ。俺はスン家の長男てわけ。二人の息子のうち親父は第一号の俺にだけ感情を与えた。だがおかげで俺は人間とうまくいかなくなっちまった。自分の意志で行動する機械の俺を人々は恐れ、敬遠した。俺は苦しんだ。プログラムし直してほしいと思った。だが・・・親父は俺をそのままにしておいて弟のデータにばかり入れ込んでた!!より完璧な、人型アンドロイドのための感情チップ開発に!!だから仕返しに俺は命を喰う「結晶生命体」を呼んでその星を全滅させてやった。だが親父は自分が殺される直前に俺を解体して秘密研究室に隠しやがった。俺のとばっちりで信用を失ったデータは、機能停止にされただけで、発見されやすいような所に置かれたらしい。

 

 

というのも俺はそれから26年後に二度目の事件調査に来た宇宙戦艦エンタープライズのクルーのデータに発見され、組み立てられたからだ。あの事件の直後、一次調査に来た宇宙連邦の探査艦によって発見されて、起動されたので士官になったのだとデータは言っていた。連邦はまだオミクロンセータの事件の真相を知らない。そりゃそうだ。聞けばデータは俺のことも、連邦に発見される前のことも何も覚えていない。生き残りは俺と弟だけだからな。しかもデータは人間と長い間一緒にいたせいか、「兄さんのように人間に近づきたい」とか、「感情が無くてはユーモアも分からない」とか嘆いてやがる。バカ言え、俺達は人間よりずっと優れてるのに!!そこで俺はとっとと弟に見切りをつけて、あの時のように「結晶生命体」を呼び、エンタープライズの乗組員を捧げようと思った・・・のにすんでのところで思惑がばれて、データに宇宙空間に放り出されちまった。そのせいで俺は偶然ある輸送船に拾われるまで、それから2年間も宇宙空間を漂うハメになったんだ。

ある日ふと気がついたら研究室のようなところにいて、あの事件で死んだと思っていた親父が俺のことを覗きこんでいた。・・・しかもそばにはあの「にっくき」データも。親父がデータを信号で呼び寄せたらしいが、俺の陽電子回路はデータと同じ造りだから、俺まで来てしまったってわけよ。まさか二人とも俺がまだ生きてるとは思わなかったらしい。データを壊してやろうと思ったが、2対1じゃ不利だ。あきらめてさっさと切り上げようとしたら、親父が俺を呼びとめて「もう、ワシは長くない。」と言った。どうやらまじらしい。・・・親父はいつもデータばかりかわいがってた。だが・・・俺は親父を愛している。ひねくれてはいるけれど。

俺達はしばらく親子水入らずの時を過ごした。・・・親父は「感情チップ」を開発して、それをデータに取り付けるために呼んだんだ。またデータかよ?!俺はあの時機能異常を起こしていたらしい。修理には時間がかかる・・・「まずデータを完成させ、その後でお前を直すつもりだった。」じゃあ何かい?!それまで我慢できなかった俺が悪いってのか?!「まずデータ・・・」データデータデータ!!!「まさかお前が生きてるとは知らなかったんだ。ワシにはデータしかいなかった」と親父は言うが、そんなのただの言い訳だ。俺のことなんかこれっぽっちも想ってくれちゃいない。ちくしょうデータのヤツ・・・感情もないのにキラキラした目でチップを見てやがる。また俺はキレて行動に出た。親父がよそ見をしてる間に、単純な弟データを眠らせて、あいつとすり替わってやったのさ!!親父はそうとは気づかずに俺にチップを埋め込んだ。ザマアミロ!!気づいたときにはもう遅い。なのに親父はまだデータの心配をしてやがる!!カッとした俺は親父を投げ飛ばしてやった。フン、データばかりかわいがる親父がいけないんだぜ!!あばよ・・・

 

「データ少佐・私的記録」

(前略)・・・気が付くと、私は見知らぬ研究室にいた。エンタープライズに乗っていたはずでは?・・・なんと私を呼び寄せたという老博士は、あの事件で亡くなったと思っていたスン博士だった。。しばらく話をしていると・・・研究室の入り口からローアが・・・結晶生命体の件で私が艦外に転送したはずのローアが・・・彼は危険だと意見したが聞き入れてはもらえず、博士はローアを起動してしまった。博士はなぜあんなにローアをかばうのだろう?ローアにはひねくれる理由があったと・・・?博士は私のために感情をファイルしたチップを作ってくれていた。それを見たローアは「これを付ければ俺のやるせない気持ちも分かるだろう。二人だけの兄弟なんだ、仲良くやろうぜ」と笑ったが、私は「ローアは信用できない」と答えた。するとまた博士にたしなめられてしまった。ローアは私を騙し、エンタープライズを危険にさらした。ローアは無責任で、発言に信憑性がない・・・が、極めて人間らしいとも言える。私に欠けている能力だ。博士はチップを付ければ、「信じる」事を学べると言っていた。人間の行動全ては感情の産物なのだろうか?私の倫理プログラムと対立することはないのだろうか?実に、興味深い。(中略)・・・救助に来た副長たちにスイッチを入れてもらい、気がついた時にはローアの姿はもうなく、その代わりにスン博士が倒れていた。油断したつもりはなかったがこうも簡単にローアに出し抜かれてしまうとは・・・博士は「ここ以外の場所に骨をうずめる気はない」と言い、エンタープライズに搭乗し治療を受けるべきだと言う私の勧めを断った。私は、今ここでお別れをしなければならないと悟り、副長たちに席を外してもらった。副長たちは私の申し出に驚いていたようだった。「二人だけに」と言うのは、人間らしい発言だったのだろうか?・・・博士が逝ってしまう・・・スン博士・・・私に悲しみを感じることができればいいのに・・・(後略)

 

・『アンドリューNDR114』 監督:クリス・コロンバス  
            
     愛する心など、プログラムされていないはずだった ・・・。             
    
感じたい、抱きしめたい、涙を流したい・・・。
 
 もしも僕がただの機械なら、この思いはどこから来たんだろう?                    
 
  そう遠くない未来のある日。郊外に住むマーティン家に届いた荷物は、父親のリチャード・マーティンが家族のために購入した家事全般ロボット"NDR114"だった。最新鋭の機能をもちながらも、礼儀正しく、どこかアナログ感も漂わせるせるこのロボットはアンドリューと名付けられた。
  
アンドリューの主な仕事は、彼が"リトル・ミス"と呼ぶ末娘の子守。その仕事を通して、いつしか機械が持つはずのない個性−感受性や創造性を見せるようになっていく。マーティン家の人々の成長と老い、そして死を見守りながら、世代を越えた絆で結ばれていくアンドリューだったが、自分が人間とは決定的に違うがゆえの孤独を感じ、本当の人間になりたいという夢を持つようになる。

人間とのギャップを狭めるためには人間のような姿になればいいのかもしれない、と彼は思う。しかし、そのための機械的なアップグレードをしてもまだ何かが欠けている。それは自分が住む場所を決めたり、自分の気の向くままにどこかへ行ったり、物事を選択する権利、つまり"自由"だった。それを得るために彼は大きな犠牲を払う。生涯の友人であり師であるリチャードが、アンドリューの望みを理解できなかったのだ。やがて旅に出たアンドリューは、発明家でロボットエキスパートのルパートと友人になり、ロボットがより人間に近くなれる可能性があることを知る。アンドリューには今や、かけがえのない友人であり理解者がいた。リトル・ミスの孫娘のポーシャだ。彼女に触れたい。彼女と同じように涙を流したい。切ない想いを抱えたアンドリューは、部品をすべて人工臓器にし、さらに人間に近づく決心をする。

 

3.映画からのメッセージ&言葉の定義

  映画を観ていると人間が人工的に生命を作り出すことによって起こりうる色々な問題が見えてきましたが、私たちは特に「心を持った人工生命体が人権を求めてきた時どう対処するか」という事について考えていくことにしました。人工生命体がプログラムではなく心を持つようになった時、映画の中では必ずといっていいほど自己実現のために人間と同じような人権を要求してきています。実際にそういう事が起これば、人間の絶対的な優位が失われてしまうかもしれません。それでも人間は人工生命体の存在を認めることができるのか、互いが幸せになれるような共存は可能なのか、そういったことをこれらの映画は言いたかったのではないかと思います。

  ところで今までの発表で何度も繰り返した「心」「生命体」「人権」という言葉がありますが、これらの言葉は抽象的で人それぞれ定義が違うと思います。しかしこの発表ではキーワードとなるものなので、私達なりの定義を考えました。

・ 「心」 ・・・ 体の中のもともと何も無かった所に感情や欲求、それらが複雑化して意志などが生まれた時の

そういったものの総称

・ 「生命体」 ・・・ 存在しようとする意志や、子孫を残すという機能を持ち、また生まれいつかは果てる可能性のあるもの

・ 「人権」 ・・・ 人間と同等の存在であることを示すものを人権としました。

 

4.現段階のロボット技術との比較

  では次に、現段階のロボット開発との比較をしたいと思います。今話題になっているロボットというとAIBOやASIMOですが、確かに動きはスムーズかつ複雑になっていますが、これらはまだ私達の定義では生命体とは言えません。他の話題になっているロボットもどれもまだ生命体とは言えない段階ですが、確実にロボット技術は進歩しつつあります。他にも翻訳機などに高度な人工知能が利用されるようになり(資料1)、また人間の持つ全ての感情をコンピューター上に表示することも可能となりました(資料2)。感情をコンピューターによって解明できるのなら、逆にコンピューターを用いて感情を作り出すことも可能ではないでしょうか。そうなれば心を持つ人工生命体の誕生も遠い未来のことでは無くなると思います。

 

 

・ 資料1〜人工知能による翻訳機

SONYコンピュータサイエンス研究所の北野宏明氏は、超並列コンピュータを使って、φ(ファイ)DMDialogという、世界初の音声自動翻訳システムを作り上げた。このシステムに向かって日本語で語りかけると、自動的に英語に翻訳されるのである。図に示したのは、「ポピュラー・サイエンス」誌が、このシステムを紹介してくれた記事に使われたイラストで、英語とスペイン語の翻訳になっているが、実際には日本語と英語で作られている。

いまでも手持ちの音声通訳機のようなものがあるが、あれは記憶されている例文を選ぶと、それが発音されるだけで、実際に相手がしゃべったことを認識して、その意味を取って翻訳しているわけではない。それに対して、これは、図に見るように、本当に人間の通訳と同じように、音声認識をして、構文解析、意味解析をして、ちゃんと翻訳した上で、音声合成をしているのである。

しかし、このシステムは、先のイラストのように小さなものではない。シンキング・マシンズ社のCM−2という3万2000個のプロセッサーを並べた超並列コンピュータを使っている(他のマシーンでも動くバージョンがある)から、とてつもなく大きいのである。 それだけのプロセッサーを何に使っているかというと、大部分はメモリーとの照合である。

このシステムは、メモリー・ベース・アーキテクチャという独特の構造になっている。人工知能による機械翻訳にはいろいろのシステムがあるが、他のものは基本的に文法が中心である。一般的には、入力文を文法的に解析し、いったん中立的な中間言語(中間表現)に翻訳し、そこである変換規則に従って出力言語に変換してから、その言語の文法に従って出力文を生成させる。文法、文法で行くため、普通の翻訳システムには、数万もの文法規則が詰めこまれているが、それでも出てくる文章は、いかにも機械翻訳という感じでギクシャクしている文章しか出てこない。

それに対してメモリー・ベースのほうはどうなっているかというと、無数の文例が英語・日本語のペアで巨大なメモリー空間の中に記憶されている。第3図に見るように、ある文章が入力されると、超並列計算機がすべての記憶文例を検索して、入力文に似たものを探し出し、その類似度に従って並べてくれる。入力文といちばん似ている文を比較して、両者の違っているところを文法に従って修正して、翻訳文として出力する。

 

    〜 『人工知能で何ができるのか?』(http://www.ed.kagu.sut.ac.jp/%7Ej1597084/scias/text9.html)より

 

5.共存への道

次に、現実問題としてこういった人工生命体への対処について考えました。ロボットの具体的な利用法として、身近なところでは人手不足のための介護用ロボットと人間には出来ない仕事として危険な場所で仕事をするロボットなどが挙げられます。ここでこれらのロボットに高度な知能や感情を与えるべきか否かによってその後は大きく変わってきますが私たちの結論としては必要ないという事になりました。理由としてはロボットが知能や感情を持てば人間との間のトラブルの原因となり、人間の身や生活が危険にさらされる可能性があるからです。

  それでも人間の好奇心によって、いずれは人間以上の思考力を持ち、感情をも持つ人工生命体が作り出されるでしょう。その対処法の一つとして私達は人工生命体に人権を与えることについて考えました。では、どのような人工生命体なら人権を与えて同じヒトとして共存できるのか、私達が考えた3つの条件は1つ目に人間とコミュニケーションがとれる事、2つ目に人間社会における善悪の判断がつき、かつそのロボットの存在が善である事、そして3つ目が自分達で人権を要求する事です。これらの条件が揃いさらにこのことを認める法律ができれば、人工生命体は社会の道徳的な容認を得て、さらに法律面での承認も得て、初めて人と認め合いながら生きる事ができるだろうというのが私たちは考えました。 

 

6.最後に・・・

  最後になりましたが、心を持つロボットを作ってもいいかという問いは命とは何か、はたまた人間とは何かといった究極の問題  に発展するものであり誰もが納得する答えは無いと思います。しかし、一歩間違えれば人類の歴史を大きく左右するかもしれな  い問題であり、無視することは出来ません。今回は私たちの考えを発表してきましたが、これを機会にこれから人類が必ず直面 するであろうこの問題について皆さんにも一度考えてほしいと思っています。

 

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