平成11年度研究紀要(第33集)

98年度家庭科総合学習報告

国際教育の実践と総合学習
資料・総合的学習「食の文化祭」の試み
桝形公也,田中博康
中野信行,山田典子
伊井直比呂,奥村芳和
友田勝久,治部浩三

平成11年度公開授業研究報告

クロスカリキュラによる国際教育の実践『クルマ社会を考える』
―横断的総合的学習の可能性を探って―
治部浩三,梶木尚美
隅田悦子,杉本志穂
中井一郎,宮川 康
山本京世,吉村勇治

99年度家庭科総合学習報告

家庭科総合学習『北海道』の実践概要報告
市道和豊,奥村芳和
梶木尚美,治部浩三
佐々木利昌,田中博康
桝形公也,松山克則
山田典子,宮川 康
個人研究
化学1B探究活動の指導について
―1998年度第2学年次の化学指導の試み―
松永 茂
化学課題研究の試み―2― 松永 茂
より創造的なライティングを目指して
―生徒によるオリジナル例文作り―
隅田悦子
高校生に教えたい英語の語法・文法(その2)
―主に高校生の誤りに基づいて―
山田 学
その他
生徒のインターネット利用状況
−アンケート集計と分析−
友田 勝久



98年度家庭科総合学習報告

国際教育の実践と総合学習

資料・総合的学習「食の文化祭」の試み

中野信行 他

 本校では,1995(平成7)年度より,「家庭科総合学習」と題して2年生を対象として,家庭科以外の複数教員による総合的学習を実施してきた.その流れの中で,1998(平成10)年度には,「食」を統一テーマにとした総合的学習を試みた.
 本稿は,第41回全附連高等学校部会教育研究大会・総合学習分科会(1999年10月28日・東京大学教育学部附属中・高等学校にて開催)において発表した資料に若干の修正を加えたものである.表記の執筆者の原稿と,本稿末に示した本校『研究紀要』国際教育・総合的学習関係文献よりの引用をもとに中野が最終的なまとめを行った.
 なお,上記の発表後,日本教育新聞(1999年11月26日付)紙上に紹介記事が掲載されたことを付記しておく.

関連資料:98年度家庭科総合学習「食」レポート集


平成11年度公開授業研究報告

クロスカリキュラによる国際教育の実践「クルマ社会を考える」

治部浩三 他

 1993年に池田キャンパス小中高で,国際学級設置構想が立ち上がって以来,高校では国際教育委員が中心となって構想の具体化に向けての理念,カリキュラムの検討や研究実践を続けて来た。その中で,池田校舎の理念の基盤となったのは,1974年のユネスコの教育勧告で提言されたWorld Studies(国際教育)である。本校舎ではこの具体化に向けて,1997年から複数教科の教員が参加する形のクロスカリキュラ型授業「クルマ社会を考える」がスタートした。
 これは,クルマに関する諸問題をテーマに,各専門教科の特性を生かしながら,1−2週間で授業を行う。生徒たちは,身近なクルマについての教材をとうして,地球規模に広がる様々な問題を知り,そこから環境問題や人権・開発問題との関わりを考えて行くものである。
 この実践は,3年続き1999年11月にはその研究報告を兼ね公開授業研究会を行った。ここには,この報告を含め,99年度の参加教員の研究報告をまとめた。

 [目次] 

1. クルマ授業のねらいと構想
2. 各授業説明
・ 自動車と生物,環境
・ 社会的弱者の視点から見た街並み
・ 附高生家庭エネルギー使用実態調査から
・ 諸外国における車社会への取り組み
3. 平成11年度公開研究会報告
・ クルマ社会をとうして地球の将来を考える
・ クルマ社会を題材とした「国語表現」
・ バッテリーの理論と諸問題
・ 日本史から考える車社会



化学1B探究活動の指導について

1998年度 第2学年次の化学指導の試み

松永  茂

 前年度の3年課題研究の発表会において,いくつかの反省点や要望が出された。その中で,発表への不慣れの解消や発表時間を意識させることの必要性を痛感した。そこで,2年次の指導でどうすべきかを考え,生徒実験について報告をさせることを試みた。その反省と生徒の評価アンケートの結果を報告する。

キーワード 化学1B  探究活動  生徒実験  実験報告(発表) グループ学習
評価  実験結果の整理  学習内容の理解深化  実験意図の確認

 前年度の3年課題研究の発表会に関しての生徒の評価・反省では,発表時間が守れなかったこと,思ったことや調べたことが十分報告できなかったこと(発表に不慣れだったこと,人前では上がってしまった)や実験を積み重ねる課題研究もやってみたかったという声が出てきた。
 そこで,今年度は各グループ毎のローテーションで,実験の報告をさせた。各班2回ではあったが,次年度の課題研究報告に役立つであろうと考えての指導である。
 本来は,実験の最後にまとめをして,レポートさせて終わるのが理想的なのであろうが,本校生の場合は,班毎に実験のペースが異なり,終わりがそろわない。また,どうしても欲張って内容を増やすので,時間内に終われないなどのため,事後指導は次の授業時間になる。そのような形態での授業展開については,実験の意図の浸透不足,内容の定着不足,真剣さや慎重さの欠如などに加えて,授業時間がどうしても余分に必要となる。加えて,生徒の実験についての感想は次のようなものであった。
  1.  レポートを書き上げてやっと実験の意図がわかった。
  2.  実験中は作業に追われ,考えるゆとりがなかった。
  3.  いろいろな物質や器具に触れるのはいい経験になった。
  4.  実験と授業とは別のものである。でも,いろいろな実験はしたい。
  5.  授業が遅れるから,実験はやめた方がよい。実験が多すぎる。
  6.  演示実験で十分である。
など。

 生徒たちのこの意識を踏まえて,今年度は次のような方針で実験を実施し,実験結果と考察の解説を生徒達に報告させることにした。

  1.  実験はできるだけ多く実施する。器具・物質に触れ,体感させる機会を増やす。
  2.  実験実施の曜日と発表の曜日をほぼ固定し,週に1回のペースで実験をさせる。
  3.  実験の要項・意図は前時に指導し,当日は留意点にしぼって助言し,実験時間をできるだけ多くとり,ゆとりを持たせる。
  4.  実験報告書は,各班で1つ提出させる。
  5.  実験報告は,各班でのローテーションとし,次時に報告させる。その際,実験意図の確認,実験結果の報告・解説を約15分間でまとめさせる。
  6.  研究室の図書の貸し出し,質問への応答,再実験,追加実験については,グループ単位で放課後または昼休みに時間をとる。

 化学IBの指導では,探究活動をさせることになっている。まず実験,事実ありきということで,何らかの体験を通して考えさせていく指導を心がけねばならない。身近な題材があればそれに越したことはないが,生徒の経験から導く指導を心がけねばならない。小中学校での経験が,個人によって異なる現実を揃えるために,本校では1年で基礎実験を課している。その経験を土台にして,2年では26の生徒実験を課した。その中では,実験で生じるであろう疑問を解決することで,その解決過程が探究活動になると考えている。
 本報告では,その過程でのグループ研究の1つの方法と発表・評価という面について,生徒側の自己評価アンケートという形で示してみた。
 3年になって,課題研究で報告会を開くときに,この2年での経験が何らかの形で生きてくることを祈っている。
 最後になったが,たいへん深くまで調べていたグループもあって,小生自身の勉強になった報告も多く,生徒たちの可能性をあらためて発見する喜びを得たことは,この42期生のおかげであると感謝している。

1999年 春
化学科 42期生2年担当


化学課題研究の試み 2

松永  茂

 化学2の学習において,生徒自身が興味・関心をもって研究を進めて理解を深める課題研究は,重要な位置を占めている。本年度の選択者96名についての研究状況について報告する。
 今年度の課題は,「化学史上の人物の人となりについて調べ,その生き方について考える」または,「化学学習の上で疑問が残ったことを調べる」というものであった。
 個人またはグループでの報告となったが,枠をはみ出たものも含めて,生徒は興味を持って調べ,報告した。発表時期が12月だったため,発表の巧拙はあったが,評価は高かった。生徒同志の相互啓発という点でも評価できる。しかし,実験的な探究をするゆとりがなく,文献調査のみになった研究内容には検討を要する。

キーワード 化学2  化学課題研究  化学史  科学史  人物史  文献調査
報告書  発表  自己評価  評価  興味・関心  実践報告

 一昨年の報告では,夏休みに課題を与え,10月にレポートを提出させ,12月に発表をさせた。課題は,「化学史上の人物についてその業績と人となりを調べる」というものであった。しかし,生徒たちが興味を持ったのは,化学のみに限定されず,科学技術全般や科学の方法論にまで及んだ。そして,人ひとりのみが傑出して研究を進めたり,単独で研究を進めることはまれであること,科学者も人間であること,さらには,研究と倫理感,武器と化学技術についても考えさせられる場面も出てきた。
 生徒の評価・反省では,発表時間が守れなかったこと,思ったことや調べたことが十分報告できなかったこと(発表に不慣れだったこと,人前では上がってしまった)や実験を積み重ねる課題研究もやってみたかったという声が出てきた。さらに,1,2年での学習を深めたり,わかりにくかったところを調べ直すことも課題に加えてほしかったという意見もあった。
 そこで,本年度は,別報 「探究活動の指導報告」 のように2年生次から,実験ごとにローテーションで報告をさせることを積み重ね,その継続の上に立って,課題研究をさせた。その実践について報告する。

 1999年度   3年化学課題研究について       1999.10.1

   今年度の化学の課題研究は,次の中から選んで下さい。
  1.  化学史上の人物について,その業績・人となりなどを調べ,その生き方に対する自分の感想を付け加える。
  2.  化学用語についての歴史的な変遷や定義のゆらぎ,人物のかかわりなどにつ   いて調べ,自分なりの感想を付け加える。
  • 1〜2のどちらかについて,レポート用紙2〜3枚にまとめること。
  • 発表予定日  11月29日,30日,12月 1日,2日の授業時間
  • 1グループの発表時間は10分以内とする。

 自分でテーマを決めて,それについて調べ(研究し),レポートとしてまとめ,発表し,評価しあうという学習形態は,課題研究のめざすところである。しかし,高校3年生では,大学受験が頭から離れない。そのため,探究に割ける時間が限られている。その中での文献調査・研究としては,それぞれがよく努力したと思う。
 実験的な探究を進めるという課題ではなかったので,化学の立場からは少しもの足りないかもしれないが,文献を調べて,先人の生き方を評価することも1つの研究と考えている。生徒なりにこちらの考えを理解して取り組んでくれたので,発表はかなり盛り上がった。ただ,聞く側が観客になってしまい,評価する立場を離れてしまう点が気になる。評価の観点をもう少し指示しておく必要性を感じている。
 また,2年次からのレポート発表については,その積み重ねによる経験が,課題研究の成果発表の際に生きてくるという感触を得たように思う。2年次から,レポートは報告を聞いてから提出させているが,班に1部ずつの提出を義務づけている。
 しかし,この学年は班員全員が提出したり,毎回個人的に提出する者もいて,コメントを付けて返却するのに苦労した。内容の理解に自信を持てない生徒が増えてきているように思う。せっかく多くの実験を取り入れるのだから,どうすればその内容を正確に押さえさせられるかという観点からの指導方法を研究する必要があろう。
 各発表原稿については,まだまだ,誤字,脱字が多く,完璧な原稿は少ない。発表までにこちらの感想を添えて返却しているが,それを受けての発表がかなり多かった(改善したり,反例を挙げて説明したり・・・)ことには,彼らの頭の柔軟性や自信のなさや素直さ,反骨心が現れ,個性の豊かさを垣間見れた。
 新カリキュラムでは,総合的な学習が1つのトレンドとなる。この科学史上の人物について調べることは,文献調査の手段や思考の進め方,レポートの作成法,発表と評価の方法の認識といった,研究の流れの一端を知るという点から,総合学習につながるものと考えられる。生徒の興味の方向は様々であるから,科学の分野として,無尽蔵にあるテーマの1つと言えるのではないか。何よりも,生徒がそれぞれに興味を持って取り組んでくれたので,総合的な学習の科学分野の1つのテーマとしての位置付けもできそうに思う。
2000年2月10日
化学科 42期生3年担当


<英語ライティング授嚢実践責表>

より創造的なライティングを,目指して

−−−生徒によるオリジナル例文作り−−−

(英語科)隅田悦子

 1・2年生に英文法・作文を指導するに当たり,生徒が自分にとって身近なことを英語で表現していくことによって英語をコミュニケーションの手段であることを実感し,同時に文法・構文の運用能力も高めていくことができるよう,生徒によるオリジナル例文作りを一年間通して試みた.
 提出させた例文は,添削・返却の後,主なものを「作品発表」という形でプリントにして配布し,共通の間違いなども指摘した.
 本稿では,それらの例文を話題別にまとめ,添削の形を残して掲載し,最後にこの取り組みに対する生徒達の感想を付け加えた.



生徒のインターネット利用状況

−アンケート集計と分析−

友田 勝久

 本校では,一昨年の年度末にコンピューター教室を一新し,44台の生徒用クライアントとNTサーバーによるLANを構築した.以前から本校と大学はインターネット専用線で結ばれており,これを契機に,生徒全員にユーザーアカウントを与え,30MB/人のホームディレクトリと電子メールを使えるようにした.
 この1年間,コンピューター教室の利用は,情報,英語などの授業での利用のほか,課題の情報収集や生徒の個人的なメールの利用など,多岐にわたっている.しかし,その利用内容には,電子メールの利用など個人的な活動が含まれるため,外からの把握は難しい.そこで,実際の利用状況を生徒の立場から把握するための試みとして,コンピューター教室の利用・HomePage閲覧・電子メール利用・家庭のパソコン環境を柱としたアンケートを実施し,利用状況の把握を試みた.(本稿は研究紀要未掲載原稿です)

レポートの全文(PDFファイル87KB)