平成12年度研究紀要(第34集)

99年度家庭科総合学習報告

家庭科総合学習『北海道』の実践
市道 和豊,奥村 芳和
佐々木利昌,治部 浩三
田中 博康,松山 克則
宮川  康,山田 典子

国際教育と総合的学習と参加型学習

〜ネパールからカマル・フィヤル氏を迎えての研修会より〜

治部 浩三,佐々木利昌
和田 義雄,甲  正義
田中 博康,若島亜矢子

人権教育研究

家庭科における障害者問題学習の実践について 杉本 志穂
教科学習と連携させた人権HRの実践報告 人権教育委員会
 隅田 悦子

個人研究

ICME 第9回数学教育世界会議参加報告 松崎 雅夫
<英語ライティング指導の実践報告>
 「翻訳」で学ぶ英作文法
隅田 悦子



総合学習・国際教育の実践

家庭科総合学習『北海道』の実践 −99年度総合学習報告−

研究実践 市道 和豊,奥村 芳和
佐々木利昌,治部 浩三
田中 博康,松山 克則
宮川  康,山田 典子

 池田校舎では、95年より家庭料男女共修に基づき、家庭科以外の複数教員による「総合家庭料」の取り組みを行って来た。内容は、調理実習からインターネット、高齢化問題、手話講座、子供の権利条約等多岐にわたり、各教員が家庭料の枠内で可能なテーマで、2年生全員を対象に隔週土曜日2時間(1単位)通年の形で3年続いた。98年度は、国際教育の観点より統一テーマ「食卓から世界が見える」をかかげ、教員の専門性を生かしながら教科をクロスする総合的学習を実践し、まとめとして「食の文化祭」と題する発表会を試みた。99年度は、「北海道」をテーマに4教科(地歴2、国語4、数学1、体育1)8人の教員が専門性と興味関心をベースにコースを設け、生徒は各コース内でテーマをたて学習を深めて行く活動を行った。以下に、この総合学習の実践を報告する。なお、目次のカッコ内は執筆者名である。

【目 次】

  1. 総合学習の構想とねらい(宮川)
  2. 総合学習の形態とコース概要(松山)
  3. 各コース説明
  4. 北海道を食べよう(田中,山田)
  5. 総合学習発表会
  6. おわりに(松山)


1.総合学習の構想とねらい

 本校第2学年の最大行事はなんと言っても修学旅行である。1999年度の2年生(第43期生)は9月28日から10月3日まで北海道へ修学旅行を行った。また、「家庭料」という教料に対して、教料の枠を超えて毎年数人の有志の教員が連格を取り合って取り組むことで進められてきた「家庭科総合学習」の試みが、対象学年としているのも第2学年であった。第43期生の学生担任団で旅行担当係である私は、「家庭科総合学習」において修学旅行への2年生の生徒全体に対する動機付けができないか、とまず考えた。
 本校の場合、修学旅行の企画運営はその最初の段階から各クラス男女1名ずつ選出される旅行委員によって行われる。旅行委員は1年生当初の研修合宿や春秋の遠足を企画運営しながら、修学旅行のノウハウを身に付けていくのである。もちろん、それと並行して修学旅行の企画は、旅行の目的や目的地の立案、生徒全体へのアンケート調査、コースの検討、行く先々での活動の仕方、等々、細部にわたるまでが、1年生の夏休み頃から、旅行委員によって徐々に組み立てられていく。それを教員の側からサポートするのが私の仕事である。
 さて、2年生当初の段階で、私が気がかりであったのは、旅行委員の中では早くから修学旅行のイメージが出来上がっていっているのに対し、一般生徒の修学旅行に対する関心がそれほどには高まっていないことであった。行程を満足に理解していない生徒が少なくなかった。修学旅行への関心、修学旅行の目的地である「北海道」への関心を高めるにはどうすればよいかが、旅行委員内部の課題としてもあったのである。
 そして、さらに私が考えたことは、「家庭科総合学習」だけではなく、ホームルーム活動などすべての学年の活動を「北海道」を軸に据えて行っていくことができないか、ということであった。つまり、1999年度の学年のテーマそのものを「北海道」にすることである。その中で、やはり「家庭科総合学習」は、生徒たちが自主的に「北海道」について、調査・研究していく場として、修学旅行における体験学習を補う、もう一つの中心に成し得ると考えた。結果的には学年活動全部を「北海道」というひとつの方向に、というわけにはいかなかったのであるが、「家庭科総合学習」を「北海道」をテーマとして行ったことは、単なる修学旅行の動機付けには終わらない、修学旅行との相補的な意味において学年を通じた教育活動の柱を形作ることができたと言い得る。
 「家庭科総合学習」は、過去2年ほど、本校国際教育検討委員会との連携のもと、「国際教育」をバックグラウンドとするテーマ設定において行われてきた。1998年度のテーマは「食」であり、各国の食文化を学習し、実習も試みた。今年度の修学旅行の目的として旅行委員が位置付けていたことの概要は、「北海道の遠さ広さを実感する。」「北海道の自然や文化に触れて大阪で学べないことを学ぶ。」「今まで行ってきた集団活動のまとめとしてふさわしい活動にする。」というものであり、これらの項目は自ずと、「異文化理解」「地球環境」「共生」などの国際教育のキーワードと重なりあう。「家庭料総合学習」において「北海道」をテーマとし、修学旅行をその一環の体験学習と考えてみることは、「国際教育」の観点からも矛盾のないものであった。いや、むしろ「国際教育」の観点から「北海道」というテーマをより積極的に捉えなおしていくことによって、修学旅行における体験学習にもより広がりと探さが与えられたと言える。
 本年度の修学旅行5泊6日の行程は次のようなものであった。

 本年度の「家庭料総合学習」の各講座(選択コース)を担当する教員には年度当初にこの行程の原案を通知し、さらに夏休み後に最終決定した旅行計画を確認の意味で配布した。各講座の内容はこの旅程に絡ませる形で各教員が自らの専門分野を生かしつつ工夫を凝らしたものとなっているはずである。また、講座の選択は希望制ではあるが、応募者多数の講座については、各生徒が修学旅行の選択コースでどこをまわるかということも考慮にいれてメンバーを決定した。修学旅行の「北海道」体験をできるだけ大阪に帰ってからの学習と結びつくように配慮した。

 今回、この「家庭科総合学習」の試みは、大雑把に言えば修学旅行前の前期で、各講座の総論を全体授業の形で行い、修学旅行後の後期の各論としての自主研究を講座式で行ったのであるが、もし、修学旅行前に学習を終了しているような形にできれば、修学旅行をより目的意識的なものにすることができるのではないかとも思う。修学旅行を授業計画のどこに位置付けるかで、「家庭科総合学習」における修学旅行の体験学習の意味にもヴァリエーションがあり得ただろうことを言い添えておきたい。
(宮川 康)

2.総合学習の形態とコース概要

 総合学習の形態の一つとして、あるテーマを設定しそれを深めて行く課題学習が考えられる。その際、問題となるのはテーマ設定を生徒主体か教員主体のどちらにするかという点である。
 例えば、生徒一人一人のテーマについて教員が支援することは、専門外のテーマに対処することも含め教員の負担が大きすぎ、またテーマの範囲も多種多様になることもあり統一性を欠く。逆に、教員が大テーマを決めそれに基づき学習するとなると、運用上はやりやすいが、従来の授業形態と似たようにもなりかねない。またテーマについて生徒が興味を示してくれる保証もない。教員の興味関心による教員別のテーマ設定として、講座のようなものを設けて、生徒に講座を選択させ、さらにその中でテーマを生徒が考え、深めて行く形もあるが、これも全体を適しての関連性や統一性を欠くし、現在の授業の中でも対応できる。
 そこで本校で考えた形は、大枠の共通テーマは教員が議論した上で決め、そのテーマに基づいて参加教員が派生するテーマを考え(我々はそれをコースと呼ぶ)生徒にコースを選択させ、さらにそこから生徒たちでテーマを考えさせて行くようにしたのである。これなら教員は専門性が生かせるし、生徒も教員人数分のコースの中から興味関心により選択でさる。また、教員はテーマ全体を視野にいれつつ、各自のペースで進められるし、生徒にとっても発表会で他のグループの発表を聞くことでそのテーマについて総合的に学ぶことも可能だ。ただ、問題は共通のテーマを何にするかという点である。一年間通して生徒と教員に共に納得しうるだけのテーマは何かということである。また、テーマによっては、教員は専門教科を離れて取り組むことも必要だ。さらに、翌年にも採用できるテーマにしておかないと形態は同じで中味が毎年変わるようでは運用上大変である。今後の重要課題と言えるだろう。
 ところで、本校では総合学習について、テーマに関する知の総合化を目指す立場と教科内でテーマを発展深化させる立場で議論がよくされる。ここで紹介する形態は、いわばどちらの要素も取りいれた形となっている。共通テーマのもと、総合性を目指すも、コース別には教科内発展型と言えよう。さらに、前半の各コースの全生徒向け講義は、クロスカリキュラムでもある。

・コース概要

 さて、つぎに各コースの概要と総合学習の日程を紹介したい。
 総合学習に参加した教員は各自の専門性や興味関心に基づき北海道に関するサブテーマを考え、シラバスとして生徒に提示した。前半はオリエンテーションとコース別の講義を行った。生徒は希望のコースを選び、後半はコース別に各教師の指導の下テーマを深める学習を行い、その成果を1月29日に発表した。評価は、出席及び発表内容をもとに行いあくまで家庭料として評価した。

(1)コース紹介。()内は担当教員名と専門教料。〔〕内は生徒参加人数。
  A『牛乳と日本人』(奥村−地理)〔24〕
 日本の酪農の現状と酪農開発の歴史や地形・気候などの理解を通し、北海道でのファームステイ先での酪農体験をより豊かなものとする。
  B『アイヌの歴史』(佐々木−世界史)〔22〕
 アイヌ民族の歴史と文化を理解することを通して、日本におけるアイヌ問題について知り、日本文化の特質についても考える。
  C『北海道の修学旅行を通して環境問題を考える』(治部−保健体育)〔28〕
 エネルギー消費が地球環境に負荷を及ぼす現状の理解を通し、北海道での修学旅行で環境負荷が具体的にどのくらいあったか調べる。
  D『エネルギー問題と地球温暖化』(松山−致学)〔12〕
 地球環境問題の現状を知ることより、北海道のある所に環境モデル都市を仮想し、そのあり方と可能性を考えることを通して、現在の都市のエネルギー消費の問題点を考える。
  E『北海道の文学と映画』(宮川−国語)〔20〕
 北海道修学旅行の体験をふまえ,北海道の文学作品や映画について自主研究し,その体験の意味を考え,さらに北海道に生きる人々と自然について幅広い理解をする。
  F『北海道を食べる』(田中,山田−国語)[42] 
 北海道を特徴づける食材や料理について研究し,実際に調理実習を行う。 
  G『アイヌの彫刻』(市道−国語)[18] 
 アイヌの彫刻について調べ,その特徴や宗教性を学び,実際にアイヌの彫刻を制作する。



以下省略(研究紀要に掲載しています。
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総合学習・国際教育の実浅

国際教育と総合的学習と参加型学習

〜ネパールからカマル・フイヤル氏を迎えての研修会より〜

国際教育委員会 治部浩三,佐々木利昌
        和田義雄,甲  正義
        田中博康,若島亜矢子

1 カマル授業の背景

 新しい学習指導要領への移行を目前に控え「総合的・横断的学習」という言葉が一人歩きしているが、もちろんそれは教育内容を意味しているものではない。総合的・横断的学習の教育理念をどこに置くのか、学習領域はどうするのか、またどのような学習形態でのぞみ、生徒達にどのような学び・気づきが期待できるのかが重要になってくるのであって、その本質の協議が十分になされなければ総合的学習は教員個人の資質に頼るところとなり、従来型授業の主流である教員主導の授業になりかねないと考える。
 本校では93年より池田キャンパスで国際コースの設置構想が取り上げられてからその基盤となる国際教育の具体的な理念・教育内容・カリキュラムなどを検討し、授業実践も続けてきた。国際教育はその取り扱われるべき内容が複雑かつあいまいで既存の教料の体系では扱いきれず、必然的に教料横断的総合的にならざるを得なかった。従って本校では比較的容易に総合的・横断的学習への移行をおこなうことができると思われたが、その実施段階で解決すべき課題が多く、なかなか思うような成果をあげる事ができないのが現状であり、本校教員内で課題解決へ向けた取り組みの一環として本研修会を開催した。

2 カマル授業の位置づけ

 新学習指導要領が告示されて以来「総合的な学習の時間」に関する多くの研究会や実践報告会が開かれている。その内容は「総合的学習の時間の創設」へ向けて教員の体制やカリキュラム、教材・実践報告中心であるが、これからは「生徒がどのように学び、何を発見し、それがどのように個性の形成や自己改革につながるのか」といった総合的・横断的学習の中心的な目標についての研究に移っていく必要があると思われる。それは本校の実践も含めたこれまでの実践報告の多くが学習指導要領に示されているような生徒の主体的な学習活動ではなく、どうしても「生徒に強制した主体的な活動」的活動に陥ってしまっているからで、それは生徒自ら主体的に学びに向かっていくような支援の技術を我々教員が持ち合わせていないことに大きな原因があると思われる。学習者の主体性を確保しながら学習を進め、学習自身による「分かり」と「学び方の気づき」が重要であって、それは学習の転移をも容易とする。それぞれの背景・個性を持つ一人一人の学習者に主体的な学習を保証するのは容易なことではないが今回おこなわれたカマル・フィヤル氏と中田豊一氏(注)による授業は、学習者の個性を軽視した画一的な参加型の学習ではなく、学習者個人個人の「分かり」を尊重しようとした参加型学習を試みている。
 なお今向の授業は授業内容その他から参加的学習と表現したほうがより正確と思われるが、本研修会が参加型学習の研修会としていたことや、参加的学習という概念がまだ一般化していないことから、以降はすべて参加型学習と表現する。

3 カマル・フィヤル氏のプロフィール

1965年ネパールの都市カトマンドゥで生まれ。学生時代よりイギリスの開発協力NGOアクション・エイドの現地ボランティアとして活動。その中で、PRAファシリテーターとしての技術を習得し、大学卒業後は、高校教師などを経てアクション・エイドの専従スタッフになる。1993年よりフリーのファシリテーターとして活動をはじめ、現在に至る。ネパールやインド・ベトナムなどの厳しい生活を送っている村々をまわり、村人自身が自分の力で自分の生活を改善するために必要な技術・態度・ものの見方・考え方の獲得をめざした活動を続けている。手がけた参加型村落調査は数多く、その度に高い評価を受け、現在ではネパールのみならず国際的にも最も優れたPLAファシリテーターの一人とみなされいてる。

4 授業当日の授業内容

 カマル氏のワークショップは生徒向けに約2時間と教員向けに約1時間行われたが、ここでは生徒
向けのワークショップについて報告したい。
1.導入:生徒との出会い〜ネパールについて
自己紹介・ネパールの紹介(場所・自然・気候・人口・文化・ネパール人の特徹と生活の様子・産業)・ネパールの村落の様子と参加型村落調査の様子など
 授業前、授業教室に集まった生徒達はあらかじめ用意してあったネパールのポスターや絵葉書・楽器・ネパールを紹介するような置物・人形などを観たり触れたりしてリラックスした様子で楽しんでいた。使用教室は少し広めの視聴覚教室(メディアセンター)で、机がとり除かれ、お互いの姿がよく見えるように椅子を半円形に並べて使用した。授業が始まると簡単な挨拶の後早速ワークショップに入った。自己紹介やネパールの紹介はカマル氏からの一方的な説明ではなく、あらかじめ用意してあった紹介の短冊を生徒に配って読んでもらう形式で、双方向のやり取りを重視した方法で行われた。またポスターや人形・絵などとともに多くのネパールの様子を撮影したスライドも使用され、短時間ながら効率よくまとまった紹介となっていた。
 2.PLAの手法の−つであるPRAの紹介
PLA(Participatory Learning Action:参加型の学習活動)の一つであるPRA(Pair-wise Ranking)との出会い・ネパールのいいところ
 ネパールについての一通りのイメージが持てたところで、ネパールのいいところを探るペア-ワイズ・ランキング(Pair-wise Ranking)の手法の紹介に入った。ペア-ワイズランキングは参加型の村落調査などで、学校がない・水道がない・電気がない・橋がないといったような、様々な村の課題・問題からどれが一番重要な問題なのかを村民自身が話し合いにより探る手法である。ここでは生徒の中から選ばれた8人が、ネパールのいいところを出し合い、それぞれの要因のランキングをおこなった。具体的には話し合いによりネパールのいいところを5つ選び出し、それぞれを組み合わせてどちらがより重要かを1つずつ決定していった。話し合われた結果を表にまとめ、ランキングを決定した。


以下省略(研究紀要に掲載しています。
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人権教育研究

家庭科における障害者問題学習の実践について

                             家庭料  杉本 志穂

1.はじめに

 ノーマライゼイション、バリアフリー、ユニバーサルデザイン・‥いずれも耳に心地のよい言葉だが現実にはどのくらい実践されているのか。生徒には地域の現状を把握させ、困難を乗り越えても共生することが大切であるということを、自ら気づくようにさせたい。

2.授業の流れ

 (A)「人生すごろく」を作ろう⇒1時間
これは生徒自身の将来に起こるであろうライフイベントを想定させ、それを1マスとしてすごろくの形式にしたてるものである。教科書の『私たちのライフコース』の単元として班(各班5人)でひとっ作成させた。(資料A)
 (B)「ノーマライゼイション」と「バリアフリー」⇒2時間(連続)

(1)ハンディキャプト

 まず、生徒に次の言葉の解釈を行わせる。
「ひとは一生のうち必ず何画かハンディキャプトになる」(資料B−A)
生徒の答えとしては
などがあがった。教師はその答えにあわせて黒板に張り出した「人生すごろく」に赤マグネットをポイントして行く。…他にも妊婦になった時、赤ちゃん連れの時なども追加していく。しばらくするとすごろくには多くのマグネットがポイントされ、生徒自身、無意識の内に自らの人生におけるハンディキャプトの時期を想定していた事を指摘する。

(2)ハンディとはなにか

生徒に障害(ハンディ)にはどのようなものが考えられるか、その原因やきっかけも合わせて考えさせ、板書していく。プリントから障害についての国連およびWHOの定義を紹介する。(資料B−B)

(3)バリアフリー

「ハンディキャプトがつねにハンディキャプトであるとは限らない」(資料B−A)
この言葉をヒントに「ハンディという不自由を不自由でなくすためのもの」
について考えさせ、生徒からあがった意見を板書して行く。
などがあがった。


以下省略(研究紀要に掲載しています。
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人権教育研究

教科学習と連携させた人権HRの実践報告

                       人権教育委員会 隅田 悦子

1.はじめに

 前年度、42期生を対象に本校での3年間の人権教育についてのアンケートを実施していたが、その中での生徒のコメントは、人権教育の今後の進め方に多くのヒントを与えてくれた。
 そのアンケートから、生徒たちは人権教育の必要性を認めており、様々な問題についてじっくり考え、お互いの意見を交換しあう場を求めているということがわかった。それらの意見を参考に人権教育委員会では、今年度以降の人権教育の方針を次のように定めた。

  1.  学年ごとに毎年目標を設定するのではなく、3年間を見通した計画を練っていく。
  2.  HRでの人権教育がその時・その場限りのものとならないよう、教料指導とも連携させていく。
  3.  教師主導型ではなく、生徒の参加型学習を目指していく。

【参考となった生徒のコメント(要約)】

2.教科学習と連携させた人権HRの計画

 本稿では上記方針のについての実践を報告させていただきたい。
 まず、本年度の人権HRが生徒にとって突発的な問題提起とならないよう、教料学習との連携を図りたいと考え、各教科に「人権」に絡んだ学習内容の実施の有無とその内容についてのアンケートを実施した。
 その結果、1・2年生は家庭科で、3年生は1・2年生の時の家庭科や総合の車授業を通して障害者問題について考えていたことがわかった。
そこで、本年度は障害者問題を主に取り上げることにし、「当事者から直接話を聞さたい」という生徒の要望を生かして、この問題について、障害を持っておられる方から直接話を伺い、この問題についての考えを深めていくことにした。
 講演者はできるだけ生徒たちの年代に近く、親近感を持って話を伺える方をと探した結果、池田市社会福祉協議会のボランティアセンターから、箕面市在住の20代の女性を紹介していただくことができた。時期は、1年生が家庭 科で障害者問題の授業を終える直後の7月に設定し、全学年合同で講演を聞くことにした。

3.家庭科での障害者問題学習から講演会そしてHR・授業へ

 講演会までの1年生の家庭科での学習については別稿にまとめていただいているので、ここでは人権委員会としての事前・事後指導について記しておきたい。
 事前指導としては、担任または人権委員から講演者と講演内容を紹介する資料(資料A)を生徒に配付し、講演を聞く意味を理解させた。講演会ではメモを取らせ、講演後そのメモを参考に感想を書いて提出させた。その感想をまとめて冊子にした(資料B)。
 事後には、その感想をまとめて冊子にし(資料B)、HRまたは人権委員の授業時間に、生徒全員に配付して各自で読む時間を設け、担当者からコメントを加えた。3年生では生徒たちにグループを作らせ、自由にこの問題について話し合わせたクラスもあり、大いに本音で語り合っていたとのことである。
家庭科以外の教料でも、1年生では、現代文の授業で、講演の時期に並行して基本的人権の問題を含んだ作品を、夏休み後には「やさしさ」について考える作品を取り上げたり、2年生でも、英語の教材で取り上げた「心の国際化」という話題に「心のバリアフリー」を重ね合わせて考えさせるという配慮がなされ、この学習を一時的なものに終わらせないための連携体制がとられた。

 次に、2年生の家庭科の授業で使用された障害者問題学習についてのプリント(資料C〜G)と講演についての資料A、Bを掲載させていただく。

以下省略(研究紀要に掲載しています。
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ICME 第9回数学教育世界会議参加報告

松崎雅夫

(l)はじめに

 昨年の7月31日から8月6日まで、第9回数学教育世界会議が千葉県の幕張メッセで開催された。4年に1回だけ開かれる国際大会に、国内にいながらにして参加できる絶好の機会だったので、何とかスケジュールを調整し大会全7日中の5日間だけ参加してきた。大会参加に当って一番危惧したのは言葉の問題であったが、ポイントになるような大事な発表や講演には、同時通訳のイヤホンが準備されており、分科会の発表には英文の印刷物が必ず事前に配布されていたので、予想していたよりも十分に大会を楽しむことができた。
 率直な感想は「やはり、世界は広い!」の一言に尽きようか。数学は場所と時間を超えた全人類に共通な真理であるが、その内容を万人に伝えるための数学教育に関しては、内容も方法も様々な国の人々が実に様々な問題意識のもとに、それぞれ工夫を凝らして熱心に研究に取組んでいることをあらためて認識し直した。参加4日目には、コングレス・ツアーも用意されていた。私はバスの座席が隣り合わせた、アラスカからやって来たという高校の数学教師から、一日中たっぷりと彼の地の数学教育の状況をつぶさに聞けるという貴重なおまけまで体験ずることができた。以下、今回の世界会議参加を通して私が学んだ事柄の一端を、この期間のメモをもとに覚書としてまとめて紹介させていただく。報告内容が正確さを欠く場合は、すべて私一人の責任に帰すことを、初めにお断りしておきたい。

以下 PDFファイル(46KB)
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<英語ライティング指導の実践報告>

        「翻訳」で学ぶ英作文法

英語料  隅田悦子

1. はじめに

 今年も43期生のライティングを昨年の2年次に引き続いて担当することになった。昨年度は「オリジナル例文作り」や「自由英作文」で生徒の創造性を高めることを目的としていたが、大学入試を前にした3年生には、創造性の上にさらに英作の技能を向上させることが必要とされているので、新たな手法を考えてみた。

2.題材の選択

 題材としては、本年度使用していた英作文法の問題集「最も新しい英作文の対策問題集」(美成社)の最後にある、『翻訳家チョットだけ』という章を利用することにした。日本の小説の一部を英語に翻訳するというものであるが、これは昨年度末に43期生に実施したアンケートでの新年度への要望の中に見られた、「難解な長文英訳に挑戦してみたい」「いかにも日本語的という文を英語に直してみたい」という声に応じる意味もあった。この題材を通して、英作力を向上させ、翻訳の楽しさも少しは味あわせることができるのではないかと考えた。

3.実践内容

 ライティングの授業は過2時間であったが文法と英作を1時間ごとに繰り返し、英作の時間の最後には毎回10分ほどをとって、英語のラブソングの一節を英語に直す試みと、この翻訳家の試みを交互に入れて実施した。時間の足りない生徒は持ち帰らせて次の時間に提出させた。ラブソングの英訳についてはここでは割愛する。
 翻訳はすべて提出させ、全員分を添削して返却すると同時に、多かった間違いの説明と、よくできた作品をプリントに掲載して配布し、説明を加えた。プリントで指摘した間違いについては個人的に訂正を加えず、自分で直させた。
 次ページからが、そのプリントの内容である。下線部はその生徒独自の工夫が生かされた表現、複数の生徒が共通して用いている表現は「注」やヒントにあったものと考えていただきたい。

以下省略(研究紀要に掲載しています。
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