平成10年度研究紀要

公開授業研究
1998年度公開授業研究会報告 研究部研究係
国際教育・参加型学習を用いて「共生」を考える
 −平和への知恵を創造しよう−
【社会科】 伊井直比呂
LANを用いた確率実験の授業 【数学科】
末広 進,友田勝久
松崎雅夫,松山克則
和田義雄
インターネットを使った英語教育(2)
   ―チャット機能を利用したディベート―
【英語科】 樋口 正次
個人研究
高校生に教えたい英語の語法・文法(その1) 山田 学
インターネットを使った英語教育
  ― ホームページ,E-メール,チャットを使って ―
樋口 正次
セミのぬけがらから見た大阪−高校生による指標生物調査'98から− 中井一郎,田中正視,木村 進
‘98年度 海外視察報告 松崎 雅夫
1998年度社会科教養講座実施報告
 Think Globally Act Locally
【社会科】
伊井直比呂,奥村芳和
梶木尚美,田中照夫
その他の項目
98年度家庭科総合学習「食」レポート集 42期生(98年度2年生)一同
インターネットを使った英語教育(2)
  -- E-mail Debate, Chat Debate --
樋口 正次
Debate入門
  ―― 発信型英語教育をめざして ――
The First Steps to Debate in English
  --Aiming at Cultivating Practical Ability--
樋口 正次
(Masatsugu Higuchi)


1998年度公開授業研究会報告

国際教育・情報教育 そして 参加型学習

伊井直比呂,友田勝久,樋口正次
研究部研究係

21世紀へ向けての教育改革で中教審・教育課程審は,「教える」から「学ぶ」ヘの転換を求め,国際化・情報化社会へ対応した学習を求めている.本校では,新設されたメデイアセンダーを活用し,各教科で参加型学習の手法を用いて新しい教育への試みを開始した.インターネットを利用した英語教育,LANを用いた数学教育,参加型学習を取り入れた社会科教育の実践報告を行ない,本校の横断的総合的学習への取り組みを紹介する.



公民科(倫理)公開授業研究会報告

国際教育・参加型学習を用いて「共生」を考える
― 平和への知恵を創造しよう ―

【社会科】 伊井直比呂

 国際教育の中心概念である「共生」という考えかたを,具体的な生活の中で意識して「平和」を獲得する過程を授業で扱った.このために,日常の学校生活の中での対立を敢えて取り上げ,その対立の背景,構造,内面の移り変わりをゲームを用いて客観的に考えた.特にこの授業では,「教える」ということを排し,生徒の参加によって気づいて行く過程を大切にした.最後に研究授業の反省会の模様も掲載している.



数学科公開授業研究会報告

LANを用いた確率実験の授業

【数学科】 末広 進,友田勝久,松崎雅夫,松山克則,和田義雄

 コンピューターを教育に利用することの利点として,生徒が自分のペースで学習を進めることができるという,教育の個別化がある.実際多くのソフトはこの方向で作られている.しかし,放課後の自習に使うのならともかく,授業で使うには大変具合が悪い.なぜなら,コンピューターの台数分だけ,異なる授業単位が成立するのであるから,40人学級の通常授業で使うことを考えると,

  1.  それぞれの生徒が異なる質問をしてくるため,指導教官の負担が極めて大きい.
  2.  それぞれの生徒は,同じ教室にいるのに別々のことをしていて,ともに学ぶという意識をもてない.

という問題が生じる.このうち,1については,team teachingなどによってある程度解決することができるが,2については,生徒の学習がコンピューターとの対話で進む限りこれを改善するのは難しい.ここで重要なのは,各生徒の意識がコンピューターに向かっていて,そこから教室に向かって広がることはないということである.こう考えると,新しい道筋が見えてくる.すなわち,コンピューター間の通信を利用すれば,コンピューターによってバラバラにされていた授業にコミュニケーションを取り戻せるのではないか,ということである.
 そこで,確率の実験を題材に,授業におけるLANの活用を探ってみた.従来,この分野でのコンピューター利用といえば,乱数を用いたシミュレーションというのが相場であった.しかし,多くの生徒が実験をしてそれを集計できるなら,ブラックボックスに入った怪しげな乱数を用いる必要はない.また,部分と全体との関わりを問題にするという点でも,この分野は都合がよい.そこで,生徒をいくつかのグループに分けて確率の実験を行い,それらの結果を,コンピューターとLANを使って集計し全体の結果をその場で表示することで,グループの結果とクラス全体の結果を全員で共有することができるようにする,という計画を立て授業を行った.



英語科公開授業報告

インターネットを使った英語教育 (2)
― チャット機能を利用したディベート ―

樋口 正次

 本校にインターネットが接続されて3年目になる.
 一昨年,2年生の生徒達に総合家庭科の中でインターネットの初歩を指導し,自分達のホームページを日本語で作らせた.  昨年は一歩進めて,3年生選択英語受講者を対象にインターネットを使った様々な英語教育を実践し,その様子を秋に開かれた『第39回 全国国立附属学校連盟 高等学校教育研究大会』 (略称,全附連)英語分科会で「インターネットを使った英語教育」として発表した.その後,そ の授業の中の新しい試みとしてEメールによるディベートに取り組んだ.
 今年はまたさらに一歩進めて,1,2年生全員にEメールアドレスをインターネット上から取得させ,インターネットの中にあるチャット機能を利用して,ディベートをやってみることにした.そして,昨年12月に行なったEメールによるディベートと,本年6月から取り組んだチャットによるディベートの記録を,10月22・23日開かれた『第40回 全国国立附属学校連盟 高等学校教育研究大会』英語分科会で「インターネットを使った英語教育(2) ― E-mail Debate, Chat Debate ―」と題して発表させて頂いた.
 今回の公開授業では,その中のチャット機能を利用したディベートを実際の授業でご覧頂こうと思う.



高校生に教えたい英語の語法・文法(その1)

山田 学

 本論は「英語ライテイング」の授業で生徒が英文を書くとき,共通の誤りは何かに注目し,それらを指摘することにより,生徒がよりよい英文を書くことを目指すものである.
 徒が手許に持っている文法書は,英語を読解するための文法規則を学習するのには適している.しかし,英文を書くにあたっては,内容が詳細すぎて,あまり参考にならない場合も多い.
 そこで,生徒のいわゆる自由英作文の英文の誤りを分析し,共通の誤りを見つけ出し,生徒が英文を書くときに参考になる英語の語法・文法を,ほぼ品詞ごとにまとめたもので,すでに順次生徒に配布している.今回はその第1報である.



インターネットを使った英語教育
― ホームページ,E-メール,チャットを使って ―

樋口 正次

  現在インターネットの中の言語は約80%が英語だと言われています.インターネットは英語を事実上の世界語にしてしまった感があります.
しかも「究極の巨大図書館」と言ってもいいほど,その内容は豊富です.いったいどれほどの情報が入っているのか想像もつきません.しかもそれが日々猛スピードで増殖しています.私も自分のホームページを英語と日本語の両方で作っていて,その中に英字新聞から題材を取って翻訳したり解説したりしているページがありますが,これはほぼ毎日更新しています.そして,世界中から毎日約50人ほどの方が私のホームページを見に来て下さっていて,今,私のページのカウンターは延べ2万8800人を超えています.
  私は,英語の教材としてはインターネットほどすばらしいものはないと思っています.生徒のほうもインターネットを使った授業は,大変楽しみにしているようです.インターネットで英文のホームページを見ていくだけでも相当の勉強になるのですが,インターネットにはそれ以外にも様々
な使い方があります.そして,英語教育に役立つページや,いろいろな使い方を見つけるたびに,私のホームページの「インターネットを使った英語教育」の欄で紹介することにしています.これまで3年ほどのささやかな私のインターネット経験ですが,少しでも先生方のお役に立てればこれほど嬉しい事はありません.
本日の講演は2部構成とし,第1部は,中学生,高校生を対象にしたインターネットを使った英語教育に役立ちそうなものを選んでご紹介したいと思います.第2部は,ワークショップということで,第1部でご紹介したものの中からメールアドレスの取得とメールのやり取り,ICQでのチャットを,先生方に実際にコンピューターを使って体験して頂こうと考えています.

伊丹市立総合教育センター主催 『伊丹市英語科教育研究員講座』 使用資料
1998年11月17日
会場 :伊丹市立総合教育センター 5階 情報処理研修室



セミのぬけがらから見た大阪−高校生による指標生物調査'98から−

 中井一郎(本校),田中正視(府立泉南高校),木村 進(府立東百舌鳥高校)

 20〜30年前,大阪の都市部にはアブラゼミが多く,子どもたちは稀少で黒光りするクマゼミにあこがれていた.ところが,近年大阪の都市部ではクマゼミが多くなり,アブラゼミやミンミンゼミは少なくなってきた.このようなセミの分布の変化を,都市環境の変化と結びつけて考察できないかと,大阪府高等学校生物教育研究会の指標生物調査委員会では,1998年夏にセミのぬけがらを使った調査を実施した.調査は府下の高校に呼びかけ,1998年7月下旬から8月にかけて,高校ならびに自宅周辺で採取したセミのぬけがらについてその種構成と割合を報告させる形で行った.その結果,12校から69地点(70回)の調査結果が集約された.調査地点にばらつきがあり,厳密なことは言えないが,沿岸部および大阪市を中心とする都市中心部で,全体に占めるクマゼミの割合(クマゼミ率)が高く,採取個体数も多くなる傾向のあることがわかった.この結果から,ぬけがらに占めるクマゼミ率や時間を限った調査での採取ぬけがら数が,都市のヒートアイランド現象の指標となることがわかる.なお,この指標は,クマゼミの分布北限である関東などでは使えない.



‘98年度 海外視察報告

松崎 雅夫

 ‘98年11月3日から27日までの約1ヶ月間,私ははからずも「1998年度 国立大学・学部附属学校等教官海外派遣(A班)」26名中の1団員として文部省から海外研修に派遣される機会を得ました. そして,オランダ,イギリス,アメリカの小,中,高,養護学校,教育委員会を訪問し,直接に授業を参観するとともに,施設・設備等もつぶさに観てまわることができました.さらにイギリスとアメリカの2ヶ所では,大学の特別講義も受講し,これら3国が当面している教育問題についても学ぶことができました.
 25日間に訪れたのは,日本語補習校を含めて,合計16ヶ所.旅行から戻って約一ヶ月,まだ,そのときの新鮮な感覚が残っている間に,直接に見聞して,自分が感じたことや知ったこと,そして考えたこと等について,研修中のメモをもとにま,とりあえず急いでまとめたのがこの報告です.
 本視察旅行は,国際理解教育や総合的教育など,いまわが国で問題になっている諸々の教育問題について,その在り方や位置付けを考える上で,私に大いなる刺激を与えてくれました.本報告によって,それらの一部でも,皆さん方にお伝えできれば望外の幸せです.(全容はこちら)



1998年度社会科教養講座実施報告
― Think Globally Act Locally ―

【社会科】 伊井直比呂,奥村芳和
梶木尚美,田中照夫

 生徒,保護者,教職員が共に学ぶ場を持ちたいと,10年以上前から公開講座を開いている.今年は各専門分野から国際教育を念頭におき,いま各自が興味を持ちとりくんでいる内容で講座を設定した.第2,第4土曜日が休日になってから,生徒にとって土曜の午後は,クラブ活動などを充実させるための貴重な時間になっているようで,本講座への参加も減少した.共に学ぶ場をどのような形で,またどのような時間に設定するか,課題である.



98年度家庭科総合学習「食」レポート集

42期生(98年度2年生)一同

 本校では,二年生を対象に,ここ数年,家庭科総合学習を行っています.このレポートは,1998年度に「食」をテーマとした家庭科総合学習の中での生徒提出レポートを冊子にまとめ,それをほぼそのままHTML化したものです.冊子へのまとめは,奥村と中野が担当し,HTML化は友田が担当しました.(HTMLはこちら)



インターネットを使った英語教育(2) 
 -- E-mail Debate, Chat Debate --

樋口 正次

 本校にインターネットが接続されて3年目になる.
一昨年,2年生の生徒達に総合家庭科の中でインターネットの初歩を指導し,自分達のホームページを作らせた.
昨年は一歩進めて,3年生選択英語受講者を対象にインターネットを使った様々な英語教育を実践し,その様子を秋に開かれた『第39回 全国国立附属学校連盟 高等学校教育研究大会』 (略称,全附連)英語分科会で「インターネットを使った英語教育」として発表した.その後,そ の授業の中の新しい試みとしてEメールによるディベートに取り組んだ.
今年はまたさらに一歩進めて,1,2年生全員にEメールアドレスをインターネット上から取得させ,チャットによるディベートを試みることにした.
本論文は昨年全附連発表後の12月に行なったEメールによるディベートと,本年6月から取り組んだチャットによるディベートの記録である.

『第40回 全国国立附属学校連盟 高等学校教育研究大会』
英語分科会研究発表用資料
1998年10月22・23日
会場 :広島大学附属高等学校



Debate入門
 ―― 発信型英語教育をめざして ――
The First Steps to Debate in English
 --Aiming at Cultivating Practical Ability--

樋口 正次(Masatsugu Higuchi)

  Debateは楽しい.やってみるとけっこうできる.はっきりした意見を持ち,それを堂々と主張するのは快感でさえある.これこそ今まで日本人に最も欠けていたものである.国際化が叫ばれて久しいが,日本人が国際人として活躍するためには,相手の意見も聞きこちらの意見も主張するというDebateの基本を早く身につける必要がある.何も難しく考える必要はない.簡単なところからやり始めよう.これは比較的導入しやすいと思われるDebate授業の実践報告である.

Debate class is fun. Doing debate in English is not so difficult. Having your own opinion and expressing it in class is enjoyable. This is one of those abilities which Japanese lack most. If Japanese are to play a leading part in the world, we must cultivate the abilities which are needed in debate. You don't need to take things too seriously. Let's begin step by step. This is a report about when I let my students debate in English for the first time.